設立趣意書

テクノロジーありきの社会で生きる

インターネットの発展と普及によって、社会は急速に変わりつつあります。パソコンやスマートフォンが多くの人に行き渡ったことで、知識や技術は一層の拡大と進歩を続けています。

前向きにかつ適度な距離感を保ってインターネットに関わり、生涯学び続けることが、わたしたち一人ひとりに期待される時代です。

 

一方、テクノロジーの早すぎる変化や、強力な魅力と上手に付き合うのは、誰にとっても容易なことではありません。子どもにも大人にも、さまざまな困難や不安と上手に向き合うための、助け合いや学び合いが欠かせません。

 

 

保護者向けの学習機会には改善の余地あり

我が子へのスマートフォンやインターネットの与え方や、その後の付き合い方に不安や悩みを持つ保護者は少なくありません。

 

幸いなことに「インターネットと子どもの成長」について、手に入る情報の量は以前と比べれば格段に増えています。

 

しかしテレビや新聞、書籍やネットを通じて得られる情報の多くは「こう危ない」「こうあるべき」の段階にとどまっているものがほとんどです。

 

また、無償で参加できる集合研修に足を運んでみても、「こうしたトラブルに気をつけよう」などの事例紹介(注意喚起)のあと、「フィルタリングの活用」「家庭でのルールづくり」を提案される画一的なシナリオが目立ちます。

 

保護者が本当に聞きたい、個別具体的な助言やノウハウ、経験談などが聞ける機会はまだ多くありません。保護者向けの学習機会には、まだまだ改善の余地が多くあると考えられます。

 

 

テックコーチという専門サービスの誕生

テクノロジーとの向き合い方に迷うのは、日本の保護者だけではありません。

 

さまざまなテーマで個人コーチを利用することが珍しくない米国では、テックコーチという専門サービスも誕生しています。

彼らは、子どもへのスマートフォンやインターネットの与え方、付き合い方などをテーマに、各家庭の方針や現状・課題に合わせて、保護者に寄り添った助言や行動支援を行います。

 

たとえ有償でも、役立つ助言や情報収集を外注できるなら利用して、その分の余力を子どもとの時間や自分の時間に振り向けたいと考える、米国の保護者のニーズも頷けるところです。 

 

 

私たちが実現したいこと

わたしたちテックコーチアライアンスの発起人は、インターネットのトラブル予防や活用に関わる、大人向け・子ども向けの研修講師を長年にわたり担当してきました。

 

その経験から、家庭でのスマートフォンやゲーム機については、単に「禁止する」「取り上げる」や「遠ざける」のではなく、その価値を正しく認めつつ、いかに毎日の生活や遊びと「バランスよく付き合うのか」というスタンスが必要だと考えています。

 

そんなある日、報道で米国でのテックコーチの存在を知りました。もちろん日本では個人コーチングは、すぐには受け入れられないでしょう。

しかし、集合研修のスタイルであっても、もっと効果的な学習デザインとし、保護者に寄り添った内容を盛り込むことなら出来るはず。

「危ない」や「あるべき」の伝達にとどまることなく、そうした「何をどのように」にまで踏み込んだ情報提供や助言ができる新しい専門家を、日本にも増やす必要があると強く感じました。

 

具体的には、次のような活動に取り組んでいこうと考えています。

  1. 保護者中心の学習をデザインし、行動変容を支援するテックコーチという専門サービスの概念と必要性の普及
  2. 日本で期待されるサービス内容や行動原則の模索、具体化
  3. 専門人材としてのテックコーチ自身の学習機会や交流機会づくり

 また、上意下達や中央集権的ではなく、それぞれのメンバーが対等な立場で貢献し、協力しあう運営スタイルを重視し、団体名称にもアライアンスの語句を入れています。

 

テックコーチアライアンスの活動を通じて、インターネットと子育てに関する不安や悩みを持つ保護者を減らし、子どもたちの可能性を広げることで、社会をいまよりも良いものにしていくことがわたしたちの願いです。